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2001年10月18日 (木)

『秋』  五味太郎

この絵本を手にしたとき、
「えっ?秋じゃなく、夏でしょ?」と思わず口からこぼれた。
だってね、青い空(もしくは水面)を背景に、なにやら棒切れに白い帽子が掛けてある絵なのだ。
まるで、暑中見舞いのポストカードのようではないか。
訝しげな気持ちで、ページをめくり始めた。

初っ端、帽子は無くなり、その棒切れに一羽の鳥が飛ぶ。
ははん、どうやら、この棒切れが、ステージ(舞台)らしい。
ここからが、「はじまりはじまり~」というところだろうか。
その次のページで、いよいよトンボがその棒切れにとまった!
その後は、何故かヘリコプター。これはご愛嬌かな。(笑)
(五味さんの作品には何故かへりコプターの登場回数が多い。)
その後からは、出るわ出るわ、秋の素材たち。
運動会、遠足バス、おむすび、おまつり、音楽(バイオリン)、菊の花、お月さま、

そして、何も無い棒っ切れだけのページ。
五味さんは、そこに「あきのくうき」という文章をはさむ。
う~ん。いいなぁ。
そして、ラストのページ。雪の結晶がひらひらと空から1つ。
そう、秋の終わり、晩秋の空。
背景は、表紙の白い帽子から、ずっと同じ青色が変らず続いているのに、いつの間にか、夏から秋、そして晩秋へ、見る者の気持ちを変化させてしまった。
つまり、表紙から裏表紙までの間に、「秋」が凝縮されている、ということ。
なんだか、最後にこの結晶を見たとき、「五味さんにやられたっ!」って思わず舌打ちしてしまった。あざやかな逃げ切り。

五味さんならではの、切れ味のいい作品でした。

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