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2003年10月20日 (月)

『私の船長さん』

私の船長さん  『私の船長さん』  M.G.ゴフスタイン 作  谷川俊太郎 訳

それにしても、なんと静かな絵本なんでしょう。
モノクロのシンプルな線画とわずかな文章しかないと言うのに、読みながら、気持ちがすうっと平らになっていくような感じがします。小さくて薄いカワイイ本だけど、街角の大型書店にあるような癒し系の絵本コーナーに、その他大勢の駄作と並べて置くにはあまりにも勿体無い一冊だと思います。
想像力に富んだ木製の小さな人形である彼女が窓わくの上のミニチュアの漁船に乗っているはずの船長とのロマンスを夢見る・・・。
一応お人形である主人公が夢見ているようなお話の体裁はとっていますが、読み手自身がロマンティックな夢に浸れる、かぐわしい作品だと思います。だって、「そしてわたしに結婚を申し込む。」という一文には、思わずハッと息を呑みましたもん。(笑)


うさぎのおるすばん
  『うさぎのおるすばん』  イ・ホベク 作  黒田福美 訳

最近また絵本ばかり読んで(眺めて)います。やっぱり、わたしのキホンは絵本だなあ。(笑)
で、ちょっと良いなって思って手に取った一冊がこれ。韓国絵本です。平凡社って韓国の絵本に力を入れてますよねえ。良いけど、訳者に黒田福美を持ってくるって発想は止めて欲しかった。まあ、それはこの際置いといて、と。(苦笑)
絵がねえ、良いんですよ、これ。ほんとに好き。日常生活をまるでスケッチ風にシンプルな線と色で描いて、時折、色をたっぷり使った丹精な絵も挟んでます。もっともっとこの絵を見たいって思えるような、飽きのこない絵です。おはなしも良いです。主人公のうさぎって子どもの視点なんですよね。つい一緒になって家の中でいたずら(冒険?)してる気分になれます。それにしても、チョゴリ姿のウサギが凄く良いです。このページだけでも飾っておきたいくらい。

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2003年10月10日 (金)

『むしゃくしゃかぞく』


むしゃくしゃかぞく
 『むしゃくしゃかぞく』  あすなろ書房  福本友美子 訳
 ラッセル・ホーバン 文  リリアン・ホーバン 絵  

最近、どこの児童書系の出版社も、有名作家の過去の埋もれた作品を発掘して光を充てることが流行ってるんでしょうか。これも、あのフランシスシリーズで有名なお2人の1966年製作の初邦訳の作品です。文庫本よりもうひとまわり大きい程度のミニ絵本ですし、描かれた小動物(リス?ヤマネズミ?アライグマ?いづれか不明)も可愛いし、ほのぼの系かと思いきや、いえいえこれがけっこうシビアなお話なのです。
むしゃくしゃ家族はいつもむしゃくしゃ。ぶったり蹴ったり突き飛ばしたり、笑顔もなしで喧嘩ばかりして暮らしています。ところがそんな家族のもとへふしぎなものがやってきて・・・。
家族ってどうも身近にあり過ぎてつい甘えが出ちゃうというか、自分の感情を目いっぱい押し付けても構わない相手みたいな勘違いをしてしまいがちですよね。自分の機嫌の悪い時はそのまんま家族にぶつけちゃうというか。そんな家族関係を反面教師として見せてくれるのがこの作品です。絵本に教訓や効能を求めることはわたしは大嫌いですが、この「むしゃくしゃかぞく」が変化していった課程は、頭の隅っこにちょっぴり残しておきたいなと思いました。

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2003年10月 9日 (木)

『子どもに作ってあげたい料理』

子どもに作ってあげたい料理  『子どもに作ってあげたい料理』

柴田書店の料理の本って、ホント、写真が良いですよねえ。
普通の生活の中で、何気に写されたスナップ写真のような、生成りの風合いの写真たち。そこに写る料理も子ども達も、よそ行き顔じゃなくて毎日の生活の一部って感じがにじみ出ててとても好きです。この本に料理人として参加されてる3人の中にフランス料理で有名な三国清三さんがいらして、つい惹かれて借りてみた本でしたが、レシピ本として、写真本として、また三国さんの横顔を垣間見れる本としても楽しめました。ちなみに、実際に作ってみたくなった料理は、音羽和紀さんの担当されたページのものが多かったです。

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2003年10月 6日 (月)

 『ペピーノ』


ペピーノ
『ペピーノ』   朔北社 
リンデルト・クロムハウト/文   ヤン・ユッテ/絵   野坂悦子/訳

久々に素晴らしい本に出会えました。こういう出会いがあるから、絵本や児童書はやめられません。
両親から捨てられたペピーノは、サーカスでクマの着ぐるみを着て、クマになりきって芸をして生きてきました。クマのペピーノはどこで興行しても人気者でしたが、人間であるペピーノは他の誰かのふりをして暮らすことにうんざりするようになりました。そこである晩サーカスを抜け出し、クマの皮を脱いで一人で生きていくことにしました。ところが偶然泊まった空家で1頭のクマと出会ってしまったことで、ペピーノの運命は大きく変わって行きます・・・。
読み進むに連れて、先が読めてきて、「もしかしたら・・・」と、話の展開に嫌な予感がしたんですが、安心しました。とても納得行く結末です。ペピーノの孤独と、ジレンマと、そして愛を求める気持ちの深さに泣けてきました。
また、文章と同じくらい絵も素晴らしいです。どこかしらとぼけたクマの表情に、シンプルな線画と色鉛筆で薄く色を付けた程度の地味な絵なんですが、この作品には素晴らしく合っています。文と絵、どちらも相手の味を上手く引き出してやっています。
秋はこういう本を誰かにプレゼントしたいものです。いや、プレゼントされたい、かな。

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