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2003年12月31日 (水)

『若き日の詩』

若き日の詩 『若き日の詩』  松谷みよ子 詩   高野玲子 絵

今年最後の大収穫というべき、素晴らしい一冊に出会いました。
日本の児童文学においてその名を知らぬ者のない松谷さんが、19~25才のうら若き乙女時代に太平洋戦争を経験し、戦後は結核を患っていたことは、その作品ほど知られてはいません。
そんな苦しい時期に書き綴られてきた詩が、高野玲子さんの銅版画を得て、今一冊の本となってくれたのです。
どうです、この高野さんの銅版画。表紙だけでも一目惚れしてしまいそうでしょ?
いったいどのような詩が収められているかというと、作中の詩の一文を借りるならまさに
その孤独さ ういういしさ 風の通り過ぎた後には さんさんと日が滴り落ち 足元の草さえ透きとおるような詩たちなのです。これが、あの苦しい時代に描かれたものなのかと疑いたくなるほどの豊かな感受性と視点の暖かさ。ページをめくるたびに、詩は素晴らしいのに、その時代背景を思い浮かべると痛みすら感じてしまいます。牛女わたしは以前『牛女』で高野さんの銅版画と出会い、その冬枯れの凍てつくような空気を感じさせる絵にとても惹かれました。それで今回この本を、高野さんの銅版画目当てで購入したのですが、それがこの詩集との運命の出会いとなったのです。
一番好きな詩は「こころは」という一篇。是非手にとって見て高野さんの絵はもちろん、紙質の肌触りから感じて欲しい。

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2003年12月18日 (木)

『おふろ』 出久根 育


おふろ
 『おふろ』  出久根 育
今月号のMOEを読むまで、わたし出久根さんのことを男性だとずっと思い込んでいました。それが、あんな見目麗しい若い女性だったとは・・・。(笑)
で、わたしの中で出久根さんのお顔が浮かぶようになってからこの『おふろ』を買ったのですが、なんだか作品とお顔が結びつきません。『ペンキや』や『ルチアさん』があまりにも印象強いので、この絵本作家としてのデビュー作『おふろ』の版画絵は、同じ彼女の作品と思えないんですよねえ。そう、版画絵。銅版画かなあ、随分と線が金属的な匂いがします。これはこれで嫌いじゃないけど、主人公の漫画チックな表情ひとつとっても、今の彼女の作風とはまったくの別人のようです。特に、おふろの中がジャングルになったみどり一色のページは気に入りました。

それにしても、男の子が一人でお風呂に入って異世界と遭遇するという設定の絵本は、かの林明子の『おふろだいすき』がありますが、出久根さんの作品の方が、より子ども達自身が楽しめる作品という気がします。あっちは優良作品なので世の母親からは好まれるでしょうけど。(笑)

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