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2005年4月20日 (水)

『クロてがみかこう』

kurotegamikakou木葉井悦子 作  こどものとも 1991年6月号
木葉井さんの絵本を開くと、なんだかほんのちょっぴり寂しくなってしまう。もう新しい作品と出会うことは無いんだという感傷がそうさせるのか、それとも作品自体に哀しみの破片が潜んでいるのか。

アフリカで生まれたシェパードのクロは今は小金井町で「わたし」の家族と一緒に暮らしている。今日はアフリカに住むムフおじさんに手紙を書くことにした。クロと「わたし」の日々を添えて・・・。

木葉井さんのこの天衣無縫な絵を「こどものとも」の主な読者である子ども達はなんと思うのかな。もしかしたら、その親たちには受けが悪いかもしれない。でも、彼女の作品はたとえお行儀が悪く見えたとしても、読者を丸ごと包んでしまう大らかさがある。決して「分かってくれる人にだけ分かってもらえば良い」んじゃなくて、「どうぞいらっしゃい」と読み手を手招きする包容力がある。彼女の描く線の柔らかさを見ればそれは一目瞭然だと思う。水彩絵の具を水たっぷり含ませた太い筆で自由気ままに色を重ねていく豪快さ。木葉井さんご本人の性質もきっと絵のとおりだったのでは、と思われる。
この作品で1番好きなページは、クロと「わたし」が、縁側に座って雨に打たれる紫陽花を見ながら、「今日は外に出られないねー」と話す場面。「わたし」の無垢な表情とスカートの裾から覗く小さな足の裏、そしてそんな「わたし」に寄り添うクロの穏やかな背中が、せつないほどいとおしい。

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コメント

SAKURAさん、いらっしゃいませ。
コメント、ありがとうございます。
わたしのほうこそすっかりご無沙汰していてゴメンなさい。
SAKURAさん、お仕事を始められたそうで、毎日お忙しいでしょう?
それなのに、こんな不義理なわたしを忘れないでいて下さって、感謝の気持ちでいっぱいです。

SAKURAさんとは木葉井さんのことを、もう何度もお話ししてきましたね。
『クロてがみかこう』は、わたしは先月購入しました。
確かに6月のどくだみ草のページも良いですね。
クロの嬉しそうな横顔ったら。(^^)

こうしてみると、木葉井さんの作品って、「こどものとも」のまんまの作品もけっこうありますよね。
なんか勿体無いなぁ・・・。

SAKURAさんがご覧になった原画、きっと素晴らしかったでしょうねえ。
わたしもいつか拝見できるチャンスがあれば良いんだけど。
『ぼんさいじいさま』の復刊情報もありがとうございます。
わたしも欲しいでーす。(^^)

SAKURAさん、お仕事お忙しいでしょうが、どうぞご自愛下さいね。
また気分転換にでもいらして下さい。お待ちしています。

投稿: 志生野 | 2005年4月25日 (月) 01:00

志生野さん、こんにちは。
おひさしぶりです。(いつもこの言葉・・・ばっかりですねぇ。)
この本、私も持っています。
志生野さんと知り合って間もない頃に木葉井さんのことでお話させていただきましたよね、ずいぶん昔のお話ですけど。
私はこの『クロ てがみかこう』を持っていなくて、その後、遠くにいる大切なお友達がプレゼントしてくれました。

木葉井さん、大好きです。
軽井沢の美術館でこの方の原画展を観にいってますます好きになりました。
木葉井さんの絵にはあっちこっち、隅々までに、生きているもの達の “呼吸” が感じられるから・・・すごく惹かれます。
私が好きなのは12・13ページ、6月。
そして、26・27ページの「クロはいつもとおなじところでうんこした」という文章。
木葉井さんの原画展で一目惚れした『ぼんさいじいさま』という絵本、ずっと手に入らなかったのですが、最近、ふとしたことから復刊(?)、再販(?)になったことを知りました。
これは手に入れなくては・・・と思っています。

志生野さん、またときどきおしゃべりに寄せてくださいね。
では、では

投稿: SAKURA | 2005年4月24日 (日) 10:46

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