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2005年5月13日 (金)

「バレエをおどりたかった馬」

バレエをおどりたかった馬H・ストルテンベルグ 作   さとうあや 絵   菱木晃子 訳
田舎で暮らしている馬が、あるとき偶然に旅のバレエ団に出会いました。バレエ団の一行は道に迷っていたので馬が駅までの道を案内してやります。その馬の親切に対してバレエ団の人々はお礼にバレエを見せてやりました。ところが、これまで田舎でしか暮らしたことにない馬にとって、楽団による美しい音楽と鳥のような軽やかな舞いは生まれて初めての体験だったので、もうすっかりバレエに夢中になってしまった馬はバレエを忘れることができず、とうとう町に行く決心をします。友だちのブタ、ヒツジ、めんどりに見送られ、汽車に乗って町へと旅立った馬。なんとか町にたどり着きますが、あまりの都会ぶりに右往左往してしまいます。しかし、偶然出会った口の悪いオウムに助けられ、なんとかバレエ学校を見つけ、その熱意で入学を許可されるのでした。また、偶然新聞広告で見つけて、昔町のオーケストラでピアノを弾いていたクローネという女性の家の部屋を借りることができました。こうしていよいよ馬のバレエ修行が始まりますが・・・。
いやはや、なんと読後感の気持ちの良い1冊でしょう。 わたしは「癒し系」と目される企画モノの本が大の苦手ですが、この作品は、そんな部類に属することなく、読む人のココロを深く温かく包んでくれます。
バレエに目覚めたのがよりによって馬という、この奇想天外さもさることながら、物語のなかでは、彼(馬)と出会う人は皆、その点に関して驚きもせず ( たまには嫌な人も出て来ますがオウムが鋭いツッコミをいれて助けてくれます。) に彼を受け入れていくのです。それはひとえに馬がとーっても素直で正直ないい奴で、バレエに対して人一倍一生懸命だからなのです。根が単純と言ってしまえばそれまでですが、純粋というか、ひたむきに頑張る馬は、ある意味、とても愛しい。また、人生をリタイアしたようだった大家さんやその音楽仲間たちが、馬に触発されて、再び音楽を身近な楽しみとして再発見し、人生を味わい深いものに変えていく様も、読んでいてとても好ましいのです。
さとうあやさんの、飄々としたシンプルで温かいイラストがまた、馬のすっ呆けた雰囲気によくマッチしていて大好きです。 わたしはお名前を拝見するまで、この挿絵は海外の画家さんだろうと思っていました。

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