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2005年6月12日 (日)

オレゴンの旅

オレゴンの旅ラスカル/文   ルイ・ジョス/絵   山田兼士/訳  
セーラー出版(1995)   LE VOYAGE D’OREGON (1993)

デュークは顔を真っ白に塗って大きな赤い鼻を付けたサーカスのピエロです。彼は、サーカスで曲芸をするクマのオレゴンと出会いました。ある日、「ぼくを遠い森まで連れてっておくれ。」とオレゴンから話し掛けられて、彼らの長い旅が始ります・・・。

おそらく、わたしがこれまで手に取ってきた絵本の中でも1~2を争う大好きな1冊です。
映画のジャンルには、「ロードムービー」というのがありますが、この作品は言わば『絵本版・ロードムービー』だとわたしは思います。朗読をするなら、男の低い声でつぶやくように、BGMにはJAZZを使いたい。表紙にもなっている、一面金色に実ったトウモロコシ畑に佇む、オレゴンに肩車されたデューク。夕暮れ時の薄紫色の空。ルイ・ジョイスの絵が見事なまでに読み手を圧倒していきます。

ぼくの赤い髪は風になびいて、
ぼくは突っ切っていく、ヴァン・ゴッホの風景のなかを・・・。
もっと美しい場所へと。

この場面の気の遠くなるような美しさといったら、とても言葉では言い尽くせません。ストーリーは小さな人向きではないかもしれませんが、この美しい絵から感じ入るものもきっとあると思うのです。
デュ-クは、自分もオレゴンと同じように、ここ(サーカス)は自分が居るべき本当の場所ではない気付きます。でも、実際にサーカスを出て行く時、ピエロのメーキャップを取れないデュ-ク。自分自身を否定して、コンプレックスにがんじがらめになってたのかもしれません。でも、旅の途中でいろんな人たちと出会うことで、いろんな人生の旅があることに気付いていきます。「世界一でかい国で黒人やってるのは、楽だと思うかい?」とデュ-クに尋ねたスパイクもその1人です。そして、旅先で初めて目にする自然の真実の美しさ。世界の広さ・己の矮小さを実感する瞬間の連続です。
ラストの、デュ-クの後姿と、置き去りにされるピエロの赤い鼻。今にも「ロードムービー」のエンドロールが流れだしそうな見事な幕の下ろし方に、何度読んでもわたしは、ページを閉じることが出来なくなってしまうのです。

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