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2005年9月14日 (水)

やまなしもぎ

やまなしもぎ平野直 再話   大田大八 絵
これからの季節に相応しい作品を選んでみました。

病に臥せる母が「やまなしがたべたい」と洩らしたことで、三人兄弟は山にやまなしを採りに行くことにします。最初は長男。途中出会った老婆の忠告に従わなかった長男は沼の主に飲み込まれてしまいます。帰らぬ長男に次男が行ってみることにします。ところが次男も長男と同じ運命に。残った三男坊も山に分け入って行くのですが・・・

丁度我が家と同じ三人兄弟という家族構成に、いろんな意味で感情移入してしまいました。グリム童話なんかでもそうなんですが、三人兄弟というのは昔話には欠かせないファクターで、そのほとんどが、長男と次男はミッションに失敗し三男坊が成し遂げるというパターンなんですよね。
あまりにも毎度お約束のエンディングに「またか」と思わないでもありませんが、兄弟のうち末っ子が最もしっかりしているということは、きっと民族や歴史を超えて普遍的な決まりごとなんだと思います。それは我が家でも見事に立証されてますから。(笑)
それともう1つ。こうしたお話を子ども達に聞かせてやる場合、末っ子に話を合わせてやるという意味合いもあると思うんです。日頃それでなくても上の子たちに押さえつけられている末っ子に、物語の中でくらい花を持たせてやろうとする計らいなんじゃないかな。これはワタシの見解ですが。

この表紙絵の画像を見ていただいても分かりますが、ホントに素晴らしい装画です。大田さんの絵本画家としてのお仕事には、現代洋画風のタイプもありますが、この『やまなしもぎ』は日本画風の作品。大田さんは、赤羽末吉亡き後の日本画風絵本画家の第一人者だとわたしは思っています。太い線と細い線を上手くミックスさせた柔らかな輪郭で生きものに命を通わせ、余白を生かし色目を押さえたストイックな絵柄で物語をドラマティックに盛り上げていきます。上品で、尚且つ昔話の持つ庶民的な愛嬌もあって、この「やまなしもぎ」は太田さんの代表作の1つだと言えるんじゃないでしょうか。是非、秋の山野の実りと枯れ具合の絶妙な色バランスをご堪能下さい。

参考までに、佐藤忠良作画のこどものとも版もあるそうです。

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