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2005年9月 1日 (木)

『いわしぐもをつかまえろ』

iwashi垣内磯子/作   市居みか/絵

さかなやさんのネコのミーニャは、ある日店先に並べていたイワシを風でさらわれて空に浮かぶ雲に変られてしまいます。売り物が無くなったミーニャは困って、なんとかイワシを空から取り戻そうとスズメやキリンに取り戻してくれるよう頼みますが、なかなか上手く行きません。そこでキツネが知恵を絞ってステキなあるものを売り物にしてくれました。果たしてミーニャのお店に並んだ商品は・・・。

古本屋さんで見つけたステキな絵本です。残念ながらハードカバーにはなっていませんが、たまにこうした掘り出し物があるので絵本月刊誌は侮れません。表紙からも解かるように、市居みかさんの版画絵がとても良いです。動物達の表情も活き活きとして可笑しいし、イワシが空に舞い上がっていく場面の構図も迫力があります。そして何より色使いが非常に好みなんですよね。くすんだ茶系・緑系のグラデーションの中に、スパイス的に秋の澄み切った空を彷彿とさせるきれいな青色がよく映えてます。ぎこちなくとぼけた線には版画絵ならではの素朴な味わいもあって、こんなつるつるの紙質じゃなく、もっとざらっとしたマットな感じで仕上げたらもっと良いのになーと少々残念に思ってみたり。 ( 紙質に関してはやはり廉価な絵本月刊誌には限界もあるでしょうね )

文章も絵に負けないくらい良い味を出しています。さかなやのくせして店先のさかなをつまみ喰いしてしまうミーニャ、イワシを追いかけてまるで「茶色い矢印のように」飛んで行くスズメ、網を銜えて梯子によじ登るキリン、そしてキツネの妙案。最後にキツネが登場した時は、一般的な昔話のイメージから ( きっとこのキツネったら、イワシを取り戻したあかつきには盗っちゃうに違いないワ ) と想像してたんですが、見事に裏切られました。素晴らしい代案を披露して皆に感謝される姿は、これぞキツネのニューウエイブ。  そしてラスト、物語のオチにもまたウフフと思わせて貰えます。このオチ、好きだなぁ。

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